コラム
これから訪れるのはバブル? 2005_11_24

最近、株、株と世間が騒がしいですね。

非常に大きなM&A(企業買収)やMBOが活発に
なり、敵対的買収やポイズンピル、ホワイトナイトなど
小学生でもこの言葉を使うようになっているようです。

テレビでも株を題材にしたコーナーをたくさん
やってますね。お茶の間まで浸透してきたということです。

私が記憶する限り、1980年後半の凄まじい土地バブル。
1990年代後半のITバブル。
今回の2005年からの??バブルの兆し。

面白いものです。良く見ると10年サイクルになっていますね。
歴史は繰り返すかも知れません。

ただし、今回の状況を整理してみないと本当のバブルなのか
それとも有効な好景気なのか、何とも言えませんね。

今回の論点は、今の好景気の兆しは、何バブルになりえるのか。
ということです。

まずは、1980年代後半のバブルを思い出すと、皆さんご存知
レーガン元米大統領のプラザ合意で、円は一気に円高になり
日本の輸出産業に決定的な打撃を与えました。

ちなみに、1985年に1ドル=263円だったものが
わずか3年後の1988年には1ドル=120円台と2倍になりました。

その結果、翌年1986年には円高不況に陥り、円高不況を乗り切るために
内需を拡大しようと、国内では6兆円の公共投資がなされ、1987年には
日銀が公定歩合を過去最低の2.5%にまで引き下げました。

こうして異例の「金余り」現象が生じました。

当時、関西電力では原油・重油の支払い代金は、円高のお陰で1985年の2330億円
から1986年には1012億円へと、1300億円余りの円高差益が発生したそうです。

2.5%という金融緩和の結果、企業には約20兆円ほどのお金が浮いてきたと
推定されています。企業の手元に残った余分なお金を国が回収する為に
金利を引き上げれば良かったのですが、

運悪く、1987年、ニューヨークの株価が暴落しました。

日本がバブルを予防するために金利を引き上げれば、日本の高金利を求めて
アメリカから資金が逃げてくる。そうなれば、ニューヨークの株式市場がさらに
暴落し、1929年の「ブラック・マンデー」になる事を恐れた日本は、
1989年5月まで公定歩合を2.5%に据え置きました。

このお陰で、行き場を失ったお金は株式や土地投機に向かいバブルとなりました。

あまりの景気上昇にサラリーマンが家も買えない状況となり、1989年に金融引き締め
政策に転じ、公定歩合を2.5%から、翌90年には6%にまで一気に引き上げました。

その結果、株価が下落し、少し遅れて土地も値下がりをはじめ、人々の所有する
資産価値が下落すると消費は落ち込み、企業の投資活動も一遍に冷え切ってしまった。
そしてバブル崩壊となりました。

世界経済を端的に述べるのは、非常に危険ですが、この経験から素人目でも
景気の回復時には、金利もそれに合わせて徐々に吊り上げないといけないという
事がわかります。

更に、1990年代後半のITバブルも同様、ITという世界を揺るがす時代の変化に
当時の実力を無視して、勝手に市場が反応し、株価が高騰、これまた崩壊しました。

結論からすると、今回の株価人気は、バブルには発展し得ないのでは
ないかというのが私の個人的な見解です。
(日本銀行の適正な金利政策が最低条件ですが)

過去の20年を見る限り、バブルというものは、時代の大きな変化(または政策)で
実質の力を飛び越し、適正資産の何倍もの時価総額になった時に起こるようです。
更に、○○バブルと名前もつけられています。

1989年以来16年間、やっと日本の企業は景気の踊り場を脱し、
今回の景気は適正なる好景気だと思っております。

つまり、今回の景気を支えているのがトヨタやキャノンを代表する
製造業だからです。その利益体質を見れば一目瞭然です。

日本企業全体での損益分岐点は、最悪であった1993年の92.2%から、
2004年には、82.9%と9.3ポイントも下がり、17%売り上げが減少しても、
利益が出る体質になっています。

バブル絶頂と言われた1989年には、83.7%で、現在と同程度に見えますが、
当時は異常な景気で売り上げポイントが通常よりも高く、正社員ばかりの固定費率
の高い構造でした。

しかし、現在はデフレに近い製品価格で、なおかつ派遣社員を活用した
固定費率の低い利益構造です。

失われた10年という寂しい表現をされてきましたが、私はこの10年、
贅肉をそぎ落とす筋肉トレーニングの期間であったと思っております。

これからの時代に世界で戦おうとする日本企業が、持て余した筋肉を頭も使わず
振り回すのか、その筋肉質な体を使う為の戦術やそれを支える
インフラに投資するのかが焦点です。

今のこの金余り状態の日本企業・外国人投資家・個人投資家が
時代を変化させる面白い投資先があるのか。今はありません。

時代を変える大きな事件が無く、何バブルか名前の付けようがありませんね。
バブルにはなりえないと思います。

こんな時代に、どんなビジネスがウケるのか、色々と妄想が膨らみます。
20年という歴史をさかのぼる事で。