| 理系という職業 | 2005_10_21 |
理系は損をしているという固定概念が頭から離れません。
日本人の数学嫌いが最近は顕著になっているとも聞きます。
理系人間を増やそうと、10年前に6000人いたドクターを
特別研究員事業により増やし、今は1万1000人にまで達しているそうです。
そのような国の思いとは別に、企業は社会適合性が無いと
ドクターの就職率は最悪だそうです。
私は、前職がコンサルタントだった為、文系に思われる事が多いですが
れっきとした理系人間です。
大学院時代は、超音波で接触熱抵抗なるものを
非接触に測定する装置を開発していました。
自分で工場に行き、旋盤とフライス盤を駆使して、工場の
職人さんに図面を見てもらい、手取り足取り教わりながら
実験装置を作っていました。
何もかもが始めての経験。
それまでは、誰かが用意した答えを解くだけの勉強。
大学院に入り、答えの無い世界に突入し、熱伝導率の
方程式でさえ疑えと教授には怒られました。
それからは人生でもっとも勉強した時代です。
(今思うとぞっとします、笑)
超音波の実験データをフーリエ解析する為に、fortranで
プログラムを組み、データ処理をしていました。
いまや懐かしいのですが、シリコングラフィックスのO2という
マシンが研究室で最速でした。604CPUのマッキントッシュ
のマシンにG3カードを載せて、論文を書きながら、計算は
シリコングラフィックスで行い、FTPでデータを取得しては
科学技術用のオリジンというグラフ作成ソフトで分析です。
毎日、毎日同じ実験の繰り返し。教授に相談しても、教授すら
分からない領域。私はどうすれば良いのか、卒業すら危なかったです。
下についてくれていた学部の後輩は、数学オリンピック銀メダリストの
超エリート。そんな彼も分からない。理論式をひたすら作ってくれました。
そこで鍛えたのが、論理的思考能力です。
科学の世界で、法律を作るような能力です。
そうです、誰も答えが分からない状況では、筋道立てて説明できる
事が正解なんです。そこに気づいているか気づいていないかは
後々の人生で大きく分かれます。
話は変わりますが、ルナ・エンバシー社も、法律が整備されて
いないところで、月や火星の土地を勝手に売っています。
(私も2エーカー買いましたが、笑)。法律=理論が無い世界では
先駆者利益は相当高いです。
話は戻り、大学までの数学は、数字をいじるだけの反復練習です。
数学ができるから、論理的思考能力があるとは言い切れません。
就職活動では、理系が重宝され、初任給も文系よりは高いです。
しかし、入社して5年もすれば給与は同じになり、あわよくば
文系諸君はマネージャーとして管理職につき、理系の技術者を
置き去りにどんどん出世して行きます。
日本の社長の70%は文系です。
論理的思考能力でもろに仕事のスキルが決まると言える経営コンサルタント
は理系出身者もさることながら、文系法律学部出身者も多いです。
なぜなら、曖昧な社会に秩序を与える法律という思考を学んでいるから。
非常に悔しいです。理系のほうが論理的思考能力に欠けている
という結論です。
随分古い話になりますが、青色発光ダイオードといい
ジャストシステムの問題といい特許関連の話題は相当ショックでした。
理系は技術を売りに対価としてお金を貰います。
会社は技術(特に特許)の対価として、技術者に給与を払います。
しかし、青色発光ダイオードの特許としての報酬は、当初たったの2万円でした。
裁判しがんばっても8億円。1600億円経常利益を会社にもたらしたにも
関わらずです。
今回のノーベル賞では、引用論文の数で圧倒的に多い中村さんが受賞する
のではという声もありました。しかし、受賞はなりませんでした。
私は理系(技術)が大好きです。技術者の方々が素直に喜べる世界に
したいと若輩者ですが、本気で思っています。
一方、文系は、お金の管理をして利益に直結する仕事をしています。
理系と違い技術という媒体を通さずダイレクトにお金という成果を
生み出します。
前にも書きましたが、15年ほど前には、世界の90%のお金はものを
製造する事で動いていましたが、今は世界の90%がお金の移動のみ
で動いています。
原材料⇒製品⇒お金⇒原材料というサイクルから
お金⇒お金⇒お金というサイクルへ。
お金という原材料でお金という製品を生み、お金を生む。
それを支配しているのが文系です。
今話題のM&Aも、お金を動かすことで莫大な利益を生みます。
村上ファンドが動かせる金額はなんと4000億円。
利益を必ず生み出すというロジックと信用がお金(原材料)になり、
そのお金が貸したい人と借りたい人と経済的なギャップで更に
お金(製品)に変換されます。そして膨大な利益に。
楽天の三木谷社長も一橋大学商学部。
(一時期、3000億円の個人資産を持っていました)
村上ファンドの村上世彰社長も灘高校から東大法学部。
ライブドアの堀江社長も東大文学部。
資本主義のロジックをしっかりと抑えているから、あそこまで
成功しているのでしょう。私もそうなりたいものです。
更に言えば、行政書士、税理士、社会保険労務士
中小企業診断士、公認会計士、司法書士、弁護士。。。
理系人間に与えるべき国家資格は、医師、弁理士くらいしか思いつきません。
今は貸借対照表や損益計算書のような会社の健康状態を
表現する為のお金にまつわる指標は存在します。
しかし、情報産業、製造業、サービス産業等の生産活動
における指標は存在しません。
それこそ、理系が持つエンジニアリングセンスで開発することが
できると思っています。どこをいじれば生産性が向上するとか。
どこを流動的業務に変更すれば、体力のある工場になるとか。
この仕事を通して、理系という道を選んだ多くの技術者が
心から幸せを享受できる世界にできればと、心より思っております。