コラム
医療現場での神様達 2005_10_04

財団法人日本医療機能評価機構が、昨年10月から
今年6月までの医療事故件数を発表しました。

その数889件。うち死亡事故が108件に及んでいる
そうです。

最近は、医療現場で事故が多発しており、病院の
管理体制や医師免許の制度、医師の技術というものが
取り沙汰されています。


今回は、その中でも気になったものを挙げてみました。

ひとつは、医師が手術する技術を極限にまで
高めるという人間依存型のもの。

もうひとつは、技能というよりもテクノロジーとして
医療現場に革命を起こしているテクノロジー型です。

私は、どちらかが良いというよりも、こんなに医療は
進んでいるのかと正直嬉しくなったので取り上げてみました。


最近テレビで話題になり、凄い反響を呼んでいるので
皆さんは既にご存知かと思いますが、


神の手を持った脳外科医
Dr.福島孝徳、60歳


初めて知ったのは、2003年5月11日、「情熱大陸」という
日曜23時のTBSの番組を見てからです。

明治神宮の神主さんの息子として生まれ、幼少期はガキ大将だった
そうです。それから68年に東京大学医学部を卒業され、ドイツ及び
米国メイヨークリニックの脳外科研究フェロー、三井記念病院脳神経
外科部長を歴任。

48歳のとき、論文を医師の評価基準とする日本の医学界が嫌気がさし、
91年より渡米、多くの大学教授を兼務し、手術・講義のために世界中を
駆け回っていらっしゃいます。

毎年500件以上もの脳外科手術を行うそうで、移動や休日も考えると
1日に2件以上はこなしていると言う事ですね。

先日のテレビでも2ヶ月に1回は来日し、1日で3〜4件の
脳腫瘍摘出手術を行っていました。

凄すぎです。腫瘍の周りに張り付く神経を傷つけないよう
最新の注意を払いながら何時間も手術をする為の体力や精神力は
尋常ではないでしょう。


印象に残っている先生のコメントは

「医者には良いも悪いもある。だから1000件以上の手術を
経験している医者を探して、生きたいという思いを強く持ちなさい」

「難しい手術をやる場合の僕のdecision(決断)は、うちの家族、あるいは
僕がこの病気にかかったとしたら、僕はこの病気をどうしてもらいたいだろう
という事を考えて、どういう手術、治療方針でやるかという事が、僕の
ベーシックな路線ですよね。」

後は、丁寧に手術中の脳内出血を細かく使いやすいように裁断した
医療用フキンで抑えるというきめ細かさ。

先生は自分の技能をどうにか後世に伝承したいと思い、手術中は20名くらいの
脳外科医を見学させ、自分のノウハウを細かく教えています。
先生の中には自分だけという狭義の思考は全くありません。

先生もまさに団塊世代。以前コラムにも書いたように技能の伝承は
日本の発展に死活問題。

脳腫瘍手術は、手先の器用さと生死に関わるという医者様の精神的
タフネスさが問われる分野。確かにこの業界ではバイオ技術や医療技術
の及ぼしにくい分野なのかもしれませんね。


一方、技能というよりもテクノロジーとして医療現場に
革命を起きそうなものがあります。

北里大学の人工皮膚研究開発センターです。
http://www.ahs.kitasato-u.ac.jp/center/

ここは、人間の細胞再生能力を利用して「人口皮膚」を作り出す
という医療テクノロジーです。

最初、人工皮膚を扱っているメーカーにこの技術を提案したそうですが
「無理ですよ」という返事が返ってきて、その後自分たちの研究チームで
試作品を作り上げたそうです。

人間の人体に関わるものを試作するというのは、聞きなれない
微妙な感じですね。

それで、細胞再生能力がある部分を調べていったら、歯医者さんが
抜いた「親知らず」の根本部分が良いことが分かったそうです。


親知らずから人工皮膚に。


その後、他の大学の研究室とか協力体制が整い、メーカーもだんだん
積極的になってきたそうです。メーカーは営利団体なので新技術には
億劫になるのもしょうがないですね。

現在、実際に使用されており、何年か前からアフリカの病院で、皮膚が
皮下組織までえぐれてしまう皮膚病の患者にその人口皮膚を提供し、
400人以上の人が健康な皮膚に戻れたそうです。

今後も研究の余地はかなりあるらしく、あらゆる細胞っていうのは、
皮膚にとどまらず内臓や神経細胞や血管なども可能とか。

確かにクローンというコピーを作る分けではないので、倫理的にも
非常に受け入れやすいという風潮があるそうですね。

医療技術の進歩と世界で活躍する日本人を見ると嬉しくなりますね。