コラム
2007年問題までに 2005_08_10

2007年、団塊世代(昭和22年生まれ)が60歳で定年を迎え
高度経済成長を支えててきた日本の中心が去る。

よく言われる「2007年問題」である。

この世代は、仕事は先輩の背中を見て覚えるんだよと言わんばかり
にガムチャラに仕事をし、日本経済を支えてきた。

彼らが今まで培ってきた技術やノウハウは、どうやって後継者に
継承するのでしょうか。

ひとつは、先ほども言った一子相伝的な師弟関係での深い関係を
築き、長い年月を掛けて伝授する。

もうひとつは、マニュアル等の書物に自分が培ってきたノウハウを
書き出し、手順を追って同じ仕事ができるよう整備する。
これは、第2世代型伝承技術。確かに、簡単な技術若しくは理論で
説明ができる部分であれば、ある一定のレベルまでは教育し
クローン人間を作ることができる。

一般的な業務であれば、ここまでで十分効果的なノウハウ伝承ができる。
ただし、業務と言われる領域までである。

昨今の技術革新・時代の急激な流れに対応し、新しい事を生み出す能力が
会社にも個人にも非常に多く問われる時代に、従来のマニュアル・規格書
だけでは不十分な事も明らかである。

マニュアル文化が廃れてきたというお客様からのクレーム(嘆き?)
の話を良く聞きます。

マニュアル文化が廃れたことが原因なのでしょか。
私は違うと思います。

特に、サービス業では、画一的なマニュアルを揃え
顧客対応方法のやり方、クレーム処理のやり方を文章にまとめ
教育しています。

しかし、実際にそれだけではサービスという技術は伝承出来ないのです。
(サービスに限った話ではないですが)

私はマニュアルに無い一言が言えて本当のサービス(顧客満足)が
得られると思っています。

女性が1人で気軽に飲める女性専用のバーを
経営したいと思っているサクラさん。従業員ヒロシさんを
雇ってバーを経営し始めました。

サクらさんには、カクテルの作り方や掃除の仕方をマニュアル化し
教えました。そんなある日、何も知らない男性客が入店しました。
その男性顧客に、ヒロシさんはなんて言う?

【1】「男性はお断りさせて頂いております。申し訳ございませんがお帰り下さい。」
【2】「本日はご来店ありがとうございます。ここは女性専用のバーですが
    今回は特別にご案内致します。(にこっ)」

どっちがお客様を満足させれるでしょう?

マニュアルに無い気の利いた事を出来る人間をどうやって
育てるのか?って話は後ほど述べるとして、基本はこのような
対応をするのが良いですよって言う「考え方」を教えるのと、
お客様が喜ぶ事で得られる心地よい体験でしょう。そこから
「サービス精神」が芽生えますから。

話はマニュアル文化に戻り、、多くの企業ではマニュアル・規格書が
ある事自体で満足しています。ただし、人間の真の成長を促している
とは思えません。

私が言いたいのは今でも十分マニュアルの効果は非常に大きく、
それだけでも十分技術伝承もでき会社の利益にも多大なる貢献をしています。
しかし、必要条件だが十分条件ではないと思っています。

マニュアルは使った時点で既に陳腐化し、
それ以降更新される事がないので誰も見なくなる。
更に、車もそうですが、マニュアルをみながら車の運転はしません。

ただ、マニュアルを作るということで現状の実力を整備し次への
ステップとしての土台を築くという意味では非常に重要です。

しかしそれだけでは、マニュアルは成長しません。マニュアルを
作成すると誰が一番成長できると思います?

マニュアルを見て仕事をする人ではなく
マニュアルを作った人です。

会社を大きくしていくことは、オペレーション(実業務)と
プロジェクト(新しいことへの挑戦)というスパイラルを回すことで
成長していきます。

その為にまず出来る事としてマニュアルを整備することが
第1ステップです。そこから、マニュアルとは違うノウハウ
これは、理論で説明できない実践的な事例集を業務の中で作りあげる
事です。

業務日報はどこの会社でも作成していると思いますがこれを
履歴として残し活用することがポイントです。これが第2ステップ。

更に、個人のユニークな部分を活用する第3ステップです。
これは、自己成長させない限り、難しいでしょう。

じゃあ、どうやって自己成長させるのか。これは成功体験
しかありません。個人に高いレベルの課題を与え、誉めて誉めて
自己実現させる。ここでちょっとした成功体験が出来ます。

これが出来ると、後は自己成長というインフレが勝手に進みます。
まずはチャンスを与え、誉めて伸ばすこと。第3ステップはかなり
高度ですがそうすることで個人は成長し、企業も成長するという
永続的な成長を生むことが出来るのです。

以前にも書きましたが、人や企業は30年で世代が変わります。
ただし、文化は世代を超えて継承されます。この文化というインフラ
がもっとも大切なファクターとなります。

団塊世代が卒業し、企業が永続的に成長するためには、第1ステップ
から第3ステップまで仕組みを整え、さらにその仕組みを支える文化
というインフラの整備がものを言います。

いまこそ、経営者の力が問われる時代は無いと思います。